それだけ ~先生が好き~



雨がひどくなってきた。



寒い。



足を引きずりながら、必死で歩くけど・・・進んでいる気がしない。


目まいしてきた。



早く、行かなきゃ・・・



先生・・・



「おい、何やってんだよお前、もうバス出るぞ!」




先生・・・?


そう思って振り向くと、しゃがみこんだ私の顔を覗いていたのは・・・




城田





持っていた傘を私の上に差し出して、自分のジャケットを私に着せる。




あったかい




「歩ける?」




立ち上がろうとすると、足元がふらつく。


城田が肩を支えてくれた。



どこまで優しいんだろう。



私の周りには、優しい人ばかりだ。



甘えてばかりの私を、優しく受け止めてくれる。



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