それだけ ~先生が好き~


ひょこっと顔を出すと、先生が私を見つけて驚いた顔をした。



「こらぁ!!まだ、部屋出ていい時間じゃないけど」



少し怒った顔の先生は、とても眠そう。



「ごめんなさい、喉渇いてて・・・」



なんか私、最近謝ってばっかだなぁ・・・。


先生だって寝たいよね。

私みたいに出歩く生徒のせいだよね。


しゅんとした私の頭をぽんぽん撫でる先生は、いつもの笑顔だった。


「あははは、嘘だよ、怒ってない怒ってない。それより、具合どうだ?」


「大丈夫みたい。やっぱ寝てなかったのがいけなかったかなぁ」


「寝てなかったの?眠れなくなった?」


じっと私の目を見つめるから、恥ずかしくてその胸に飛び込んだ。


あったかいんだ、先生は。


今だけは近く感じてもいいかなぁ。



先生はそのまま、廊下のすみっこまで連れて行ってくれた。



「辛いんだろ?・・・頑張ってるんだろ?」



抱きしめると、タバコのにおいがして・・・心地いい。


体育館でも、先生に抱きついたよね。


最近の私は謝るわ抱きつくわで・・・何かおかしいね。



「ねぇ、先生・・・」


「何?」


「ずっと、そばにいてね」



先生の目は、優しく微笑んだ。


この顔が大好き。



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