それだけ ~先生が好き~
そういえば後藤先生は進路担当の先生なんだった。
昨日配られたらしい、第一回の進路調査の紙。
私はファイルに押し込んだままだった。
進路、かぁ・・・。
まぁ、普通に高校に進学・・・だよね。
どこに進学するっていう話だけどさ。
就職は考えられない。
今まで甘えて守られてきた私が社会に放り出されて
やっていけるはずがない
結構みんな進路の本を読んだり、高校の説明会に行ったりしてるらしい。
私、本当に何にも考えてなかったんだな・・・。
もうすぐ面談もあるっていうのに。
「マジで、うちの頭でいけるとこあんのかな~」
美咲は・・・こんなこと言っちゃ悪いけど、とても頭が良いとは言えない。
でも真剣に悩んでる。
進路のこと考えてて・・・すごいなぁ。
「悠はさりげなく頭めちゃいいもんね。ゆき普通に頭良いじゃん?あたしだけバカじゃ~ん!!」
美咲はぺらぺらと本のページをめくる。
「うちもう決めてんだ~。留学したいからさ、やっぱ南高かな。毎年何人か留学してるみたいだし」
悠のその言葉に、私の焦りが増える。
なんで、もうそんな決めてんの?
私・・・完璧に出遅れたかも。