それだけ ~先生が好き~


「やったぁ!!ほら、ゆきも入って~!!」


萌が私の腕を引っ張って、教室に引き入れる。


先生はドアを閉める。


うひゃ~・・・


本当に本当に、夢みたい。


こんなの想像してなかった。




先生が座って、面談が始まった。


「じゃあいきなり進路のことなんだけど・・・どっか行きたいところある?」


「え~・・・そうだなぁ・・・別に、特には」


「成績、いくつくらい?」


「9教科全部だと・・・34かなぁ」


萌は私の目を見ながら話す。

先生と目を合わせない萌。


「ちゃんと先生見て話しなよ~」


私のつっこみで、しぶしぶ先生の方に向き直る。


先生も「お前、誰と面談してんだよ!」なんて笑ってる。


先生の笑顔。


胸がドキドキする。



「34だと・・・オール4にちょっと足りないくらいか。西高、倉高くらいだな」


進路の本をじっと見ながら、そう答える先生。


「夏休みにいっぱい見学会とか説明会とかあるから、その辺行って来いよ」


先生は進路の本をパタンと閉じ、足を組む。


「学校生活の方は、どう?クラスの様子とか」


私はこの面談は進路のことばかりだと思っていた。

だけど、先生はきっと進路よりこういうことに時間を多くとるんだろうな。


これも大事なことだもんね・・・。



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