それだけ ~先生が好き~


まだ、あれから離婚の気配はない。

そんなの安心していられないけど・・・。


「ねぇ、ゆきと先生って何話してんの?知らないんだけど!」


萌は私と先生の顔を交互に見る。


萌は知らなくていいんだよ。


言ってしまえば、気を使うでしょ?



「う~ん、俺がこいつに愚痴聞いてもらってる感じだな~」



先生の優しさ。


そんなの嘘なのに。


逆だよ、先生。


萌は納得したような顔で「ふ~ん」と頷く。



面談終わり!と先生が言って、ドアを開けると城田が待ってた。



「おぉ、入っていいぞ」


次は城田なんだ・・・。


先生はドアを閉めようとして、私を呼び止めた。


「心配してくれる人がいるっていうのは、嬉しいことだよな。また今度別に時間とるから!」


「は~い。楽しみにしてます!」


そう笑顔で言って、廊下で待ちわびている萌のもとへ走る。


先生のあの笑顔が何度も頭に浮かぶ。

きっとこれからも忙しいんだろうけど・・・

頑張ってほしい。



大好き。


先生が好き!



溢れる気持ちが空に舞い上がって、飛んで行きそうだった。



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