それだけ ~先生が好き~


お母さんと別れて、私は部活に戻った。


夕方の空を描くことが、最近はまってること。


透明水彩っていう水彩絵の具で、空の微妙な色合いを出すことに毎回苦戦しながらも・・・楽しんで描いてるんだ。


最近やっと慣れてきて、いい感じに描けてる。


今日はやたら部活に来ている人数が少ない。


みんなも忙しいんだろうな。


なんて、私はのんき。



私だって受験生だけど・・・実感がない。


空を眺めていると、自分が小さく見える。


雲の隙間に、ちょこんと頭を出す太陽が可愛い。


太陽ってすごいよね。


だって、1つしかないのに


そこに出ているだけで、すっごく明るくなるんだよ。


不思議。


ここから見たら、あんなに小さいのに・・・。


世界中、どこからでも見ることが出来るんだよ。


たくさんの人を照らすんだよ。




太陽がうらやましい。




私も太陽みたいになりたい。


そんなにたくさんの人を照らせなくていい。


先生の心を照らしてあげることが出来ればいい。




そうして出来てしまった影を


見つけて癒すことが出来ればいい。



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