それだけ ~先生が好き~
泣き止んで、ため息をついた私と同時に、先生もため息をついた。
「もうお前も受験生だもんな・・・志望校とかあるの?」
「・・・ううん。まだ何にも。みんな結構しっかり決めててすごいよね」
高校のことなんて、考えてなかった私。
志望校なんて全然見えてこない。
不安が多すぎて、疲れる。
「まだまだこれからだよ。周りが決めてるからって、お前が焦って決めることない。受験用の成績だってまだ出てないんだから・・・ゆっくり自分にあった高校見つければいい」
私の髪をなでる。
先生の手はどうしてこんなに安心できるんだろう。
さっきまで感じてた不安はどこいった?
先生の存在がどんどん大きくなる。
「そろそろ帰るか?暗くなるぞ」
「やだ・・・けど、しょうがないよね」
私わがまま。
先生の腕を放したくないって思ってる。
「夜、電話でもしてくれよ。寂しかったら」
「うん、するね」
「じゃあ、最後に・・・」
おでこに優しくキスをする先生。
修学旅行の夜を思い出す。
なかなか消えない、先生の熱。
今日はきっと先生のせいで眠れない。