それだけ ~先生が好き~


今このまま出て行けば


きっと晴香の顔は嫌そうになる。



行かないほうが、いいのかもしれない。



私と先生を比べれば、絶対私はどうでもいい存在になる。


ため息をついて・・・私は1組の教室を離れた。



晴香の中での私の価値なんてきっとたいしたことない。


目の前に現れなくなっても


なんとも思わないのかもしれないね・・・。



友情なんて、そういうもの。



前に一度だけこんなようなことがあったんだ。



ある日突然仲良くしていた子と話さなくなった。



話そうと近づいても、遠ざかっていく。

それでも失いたくなくて、何度も話しかけた。


だけど


その子はどんどん私から離れていく。



怖かった。



自分を拒絶されることが、とても怖かった。



毎日が辛くて、悲しかった。



そのまま・・・その子と話すことはなくなった。



『友達』と呼べる関係ではなくなってしまったことは確かだった。



すれ違うときも、目は合わない。



私、また繰り返すのかな。


あれからまだ・・・成長していないのかな。


立ち止まっているのかな・・・



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