それだけ ~先生が好き~



「ゆき!今日委員会ちょっとあるから待ってて!!すぐ終わると思うから!」



1組の教室で、萌の荷物とともに萌を待つ。


委員会も最後だから、片付けとかまとめとかいろいろあるみたい。



1組の教卓の周りをたくさんの女子が囲んでいて、私は本を読んでるふりをする。



だって・・・先生が囲まれてるんだもん・・・。


しかも、晴香も一緒に話してる。



なるべく下向いて・・・ばれないようにしてる私は最低だと思う。


立ち向かう勇気がないんだ、結局。



どうなってもいいから、これだけは言っておこうとか・・・


そういうの怖くて出来ない。



きっとこのまま卒業するんだ。


もうすぐ卒業ってことが・・・信じられないよ。



このまま



当たり前のような毎日を、この学校で過ごしていくのだと・・・思ってた。



そんなわけないのに。



いつかはみんな別れていくのに・・・






「じゃあねせんせ~!!ばいばーい」



騒いでいた女子達がいなくなって・・・


今、この教室に私と先生しかいない。



うわぁ・・・


なんか緊張してきた。



私、彼女なのに。




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