それだけ ~先生が好き~
先生はこっちに歩いてきて、目の前の席に座った。
「・・・さっきからお前ずっと下向いてたろ?どうかしたか?」
さすが、先生。
どうしてそんなこと・・・わかるの?
だって、隙間ないくらい女子に囲まれてたじゃん。
私の存在に気がつかなくてもおかしくないくらいなのに。
好き。
先生大好き。
「うん、大丈夫。なんでもないよ」
また・・・当然のように口から出た嘘。
見破られることくらい、わかってるのに。
「嘘だ。言ってみろって。またひとりで溜め込んでんだろ~?」
笑いながら言われたその言葉を・・・ずっと待ってたんだ。
先生・・・ありがとう。
「あのね・・・晴香と・・・けんかっていうか、なんかぎこちなくて」
私の甘い考えが引き起こした、この関係。
勇気が出せなくて、ずるずる引きずったままなんて・・・情けないのわかってる。
先生はうんうんって頷きながら聞いてくれる。
時々・・・手を握ってくれたり
頭をなでてくれたり
おでこぽんってしてくれたり。
最近話せなかったぶん、たくさん触れてくれた。