それだけ ~先生が好き~
『秋田玲奈』
「はい」
マイクを通して体育館じゅうに響く先生の声。
卒業式の練習で、先生は1組だから一番最初に証書授与の呼名練習するんだ。
私は先生には呼ばれないけどね。
なんか切ない。
こんなにも先生の声が聞こえるのに・・・
今はなんだか悲しいよ。
先生のマイクを通して聞こえる声も
あと何回聞けるんだろ・・・
卒業したくない。
こうしている間にも
確実に時間は過ぎていってる。
先生
今その目には誰が映っていますか?
この間先生は学校に来ていなかった。
理由がわからなくて、心配してたんだ。
後で聞いた。
前の彼女さんの・・・お父さんが亡くなったんだって・・・
そのお通夜とお葬式に出席していたらしい。