それだけ ~先生が好き~


1組の前で萌を待つのが正直怖い。


先生と萌が話しているところを見るのも


私と目が合った瞬間そらされるのも・・・。




「先生また明日ね!!」


「あぁ、さよなら~」



教室から出てきた晴香は・・・私の真横を通り過ぎる。


通った後に残る、晴香の好きなボディクリームの匂い。



そのうち気にならなくなっていく。


それが怖いけど、しょうがないこと。



「ゆき・・・ごめん、今日もまだ委員会あるんだけど・・・帰ってていいよ。長引くから」



「そっか。頑張ってきてね」



「本当ごめん!!気をつけて帰ってね!」



ひとりになった瞬間、ため息をつく。



1組の前の廊下の窓から外を眺める。


冷たい風も、もうすぐ春の暖かい風に変わるんだね。



やだなぁ。



そのころにはもう私はこの学校にはいないから・・・


新しい学校で、新しい友達と過ごしているはず。




先生がいないなんて、耐えられるのかな。





< 470 / 522 >

この作品をシェア

pagetop