それだけ ~先生が好き~
1組の前で萌を待つのが正直怖い。
先生と萌が話しているところを見るのも
私と目が合った瞬間そらされるのも・・・。
「先生また明日ね!!」
「あぁ、さよなら~」
教室から出てきた晴香は・・・私の真横を通り過ぎる。
通った後に残る、晴香の好きなボディクリームの匂い。
そのうち気にならなくなっていく。
それが怖いけど、しょうがないこと。
「ゆき・・・ごめん、今日もまだ委員会あるんだけど・・・帰ってていいよ。長引くから」
「そっか。頑張ってきてね」
「本当ごめん!!気をつけて帰ってね!」
ひとりになった瞬間、ため息をつく。
1組の前の廊下の窓から外を眺める。
冷たい風も、もうすぐ春の暖かい風に変わるんだね。
やだなぁ。
そのころにはもう私はこの学校にはいないから・・・
新しい学校で、新しい友達と過ごしているはず。
先生がいないなんて、耐えられるのかな。