それだけ ~先生が好き~

笑顔



毎日先生のことばかりを考えて

毎日夢に出てくる先生を追いかける


届かない


走っても走っても


先生に近づけない


泣いても

叫んでも


先生には聞こえない



そうやって、朝早く目覚める。



「ワイシャツどこにしまったっけ・・・」


前に洗濯した長袖ワイシャツを探す。

今日は、やけに寒い。


また部活が始まったんだ。

でもお盆休みが終って、テストも近い。

きっと参加人数は少ないけどね。



・・・ガチャ


いってきます、も言わずに家を出る。


いつものこと。



私は、髪を切った。

肩まであった髪を、バッサリ切った。

何かを変えたかった。

きっかけを作りたかっただけ。


ただの・・・願掛け。


似合っているのかもわからないけど。

先生に会えたら、気づいてもらえるかな。

今まで、気づいてもらえた事はない。


お母さんたちは気づくわけない。

だって・・・顔もあわせない日が続いているから。


しょうがない。


これもいつものこと。



お金だけの関係。




風になびいて、前髪が揺れる。

ちょっと、寒いかな。



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