それだけ ~先生が好き~


朝から強い日差しが差し込む。


あれからぬいぐるみを抱きしめたまま眠っていたみたい。


泣きすぎて目が腫れてる。


今日も部活。


先生に会える。



ガチャ・・・


ドアの音が響き渡る静かなリビング。


荒れてるなぁ。

いろんなものが落ちてる。

昨日のあとだから・・・しょうがない。


二人とも、もう仕事にいっている時間。


落ちているものを拾い集める。


お父さんがくれた、うさぎのぬいぐるみ。

こんなところに落ちてたんだ・・・。


もう何年も探していた。


くれたのは、私が幼稚園に行っていたころ。


いつの間にかなくなっていて、お母さんに尋ねても無視されてた。



なんとなく、わかってた。


お母さんが隠したってこと。


私がいつも持ち歩いていたから、嫌だったんだろうな・・・。


時々言ってた。


『あいつがついてきてるみたいだから捨てなさい』



それだけは抵抗した私。


そしていつの間にかなくなった。


泣いて探したけど、みつからなかった。


やっとみつけた。


昨日の騒ぎで投げつけたのかな。


首がくたってしてる。





「ごめんね・・・後で直してあげる」



うさぎのぬいぐるみの顔が涙でにじんでよく見えない。





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