それだけ ~先生が好き~
二人で並んで校門を出るなんて、不思議な感じがする。
いつも、学校の外では会えないもん。
この校門の前には、朝の登校時間先生が立ってるんだ。
それが楽しみだった。
先生に言われる『おはよう』は、その日一日頑張ろうって思える力を持ってる。
「今日も暑いな・・・まだ夏って感じするな」
空を見上げながら私に語りかける。
「そうだね・・・先生真っ黒だね!」
私の腕と先生の腕を並べて見た。
私の右腕と、先生の左腕。
先生の左腕は、ごつい黒い時計がまかれてる。
太さも色も違う。
「俺本当黒いなぁ!まぁ、この時計ほど黒くはならないだろうけど」
なんて、冗談を言う。
好き。
まっすぐ前を向いて歩く先生は、誰よりもかっこいい。
ずっとそばにいたい。
「・・・どうした?頭痛いか?」
私を心配して顔を覗き込む。
「何でもないよ。先生かっこいいなって思ってただけ!」
「何考えてんだよぉ!そんなにかっこいいかぁ?」
「かっこいいよ・・・世界で一番かっこいい。私の王子様だよ」
「じゃぁ、お前は俺のお姫様だな!世界で一番可愛いお姫様!」
・・・そんなこと言われると、私真っ赤になっちゃう。
自分で王子様なんて言ったけど、お姫様なんて言われるとは思ってなかった。
嬉しい。
先生のことを考える時間はもっと増えそう。