それだけ ~先生が好き~
何でこんなに時間がはやく流れるんだろう。
シアワセな時間の終わりが見える。
時間が止まればいい。
ずっと歩いていたい。
そう思っても、時は待ってくれない。
「あ、ここか。今井の家」
『今井』と書かれた表札を見て、確認する先生を見つめる。
「ありがとうございました。送ってくれて」
本当は帰りたくなんかないけど、これ以上わがまま言えないもん。
今日送ってくれたことだけでも、すごくわがままだと思う。
もうすぐ学校が始まるんだから、準備もあって忙しいはずだよね。
私のことを心配してくれただけで、十分。
「いいよ、送るぐらい。近いしな!」
ちゃんと笑ってバイバイしなきゃ。
「先生、バイバイ!」
今日最高の笑顔で言えたはず。
「・・・無理しなくていいからな。辛くなったら、学校に電話でもして。俺出せって言ってくれれば出るし。ゆっくり休め!」
ちゃんと私の不安をわかってくれていたんだ。
ありがとう。