† Ｌの呪縛 †
「あの子が何を思い、何に傷付くかなど私たちには分からない事だ」

「そうかもしれない。 でも、大切ならそうならない様に最善を尽くしてあげたいって思うんじゃないの？」

「お前は変な奴だな。 人間らしい事を言う」

「あははっ、僕は人間が好きなんだ。 限られた時間の中で、それもあんなに短い時間の中で一生懸命生きる人間は儚く、そして美しいよ」

「光の中で生きる人間と闇の中で生きる人間がいる。 闇の中に生きる者は、私たち悪魔よりも醜く残酷だ」



ネヴィルは空を見上げ、遠くを眺めた。


風が吹く度に前髪が靡き目を掠める。


青白い肌は月明かりで更に青白く見える。



「迎えが来た様だな」



ヒューイは苦笑いを浮かべ、バツの悪そうな顔をした。



「仕事が終わったら直ぐに戻れと言っているだろう」



ヒューイは、声のする方へ顔を向ける事が出来なかった。


頭を働かせるが、いい言い訳が一つも思い付かない。



「ヒューイ」



恐る恐る顔を向けると、大きなカマを持った無表情の男性と視線が絡んだ。



「あ、あはは……ごめん、兄さん。 直ぐに戻るつもりだったんだけどつい、さ……」



兄さんと呼ばれた男性は、眉間にシワを寄せた。





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