† Lの呪縛 †
第八話*価値
パーティー会場では、ノエルが落ち着かない様子で何度も入り口を見ていた。


話しかけられ応えながらも、集中できず、内容はよく分からないまま会話をしている。



「お話し中失礼。 今いいですか?」



ノエルに一生懸命話しかけている令嬢をしり目に、アレンがノエルに声を掛けた。


ノエルは内心ほっとした。


そして令嬢に断りを入れ、アレンと向き合った。



「どうしたんだい?」

「兄を見ませんでした?」

「……オリヴィアと出て行ったきり戻って来ないんだ」

「そうですか……」



ノエルは困った様に微笑んだ。


オリヴィアの言葉を信じようと決めたが、それでも今シドと二人きりだと思うと気が気ではなかった。



「シドを見つけたら、アレンが探していると伝えようか?」

「いや、大丈夫です。 それに探してるのは私ではなく、母なので」

「それじゃあ、シドを見つけたらミセス・ルーズヴェルトが探している旨、伝えるよ」

「ありがとうございます。 私もオリヴィアを見つけたらノエルが探していると伝えます」



二人がそんな話をしていると、慌てた様子のシドが会場に姿を現した。


肩を上下に揺らし、息を切らしながら会場の中を見渡している。




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