† Lの呪縛 †
「ダグラスの娘はカーティスといい雰囲気なのか?」

「いや、カーティスの一方通行だよ。 面白いくらいにね」

「はははっ、そうか。 あの色男を袖にするとは中々のものだな」



エドガーは益々オリヴィアに興味を持った。


怪しい光を瞳の奥に隠し、父親の顔を崩さないまま家族との団欒を楽しんでいる。


ーガタ……。



「もう食べないのか?」

「部屋へ戻ります」



椅子から立ち上がった男性は、表情を崩す事なく静かな声で告げた。


感情の籠らない声色は冷たさを感じさせるが、家族は誰一人気にしていない。



「シド、いいと思えるお嬢さんはいないのか?」



一人早々に部屋から出て行こうとするシドは足を止め、耳を傾け切れ長の目を後ろへ流した。



「そうよ、アレンみたいに早くいいお嬢さんと婚約なさい」



興味のなさそうな顔をすると、シドは何も答えず無言のまま部屋を後にした。


ドアが閉まり、エドガーとヴァネッサは小さくため息を零し頭を抱えた。



「もしかして、あの子病気かしら……婚約者をつくらないだけならまだしも、女性に興味がある素振りもないなんて……」

「そんな筈がないだろう。 そのうち心惹かれる女性と巡り合うだろう」

「そのうちって……あの子もう二十四なのよ!? そんな悠長な事言ってられないわ」

「ならどうしろと言うんだ」



所々に苛立ちを見せるエドガー。


その事に気付いていながらも、ヴァネッサは不満を抑えられなかった。


兄であるシドの事で両親が言い争っている様を幾度となく見てきたアレンは、今も冷静に観察する様に二人を見ている。





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