† Lの呪縛 †
「お母様とお父様も、十分オリヴィアにベッタリだと思うけど?」

「ふふっ、それもそうね」



ワインレッドのドレスを身に纏っている貴婦人、クレア・レッドフォードは扇子で口元を隠し、柔らかく上品な笑い声を漏らした。


クレアはレッドフォード伯爵夫人であり、ノエルとオリヴィアの母親でもある。


大きな子供がいるとは思えない程若々しく透明感があり、少女の様な可愛らしさも残っているクレア。


穏やかで和かなクレアは、レッドフォード家にとって、太陽の様な存在だ。



「オリヴィア、スコーンは如何?」

「ううん、お腹が空いてないから遠慮しておく」

「そう? オリヴィアは少食だから、たまに心配になるわ」

「そうかな? そんな事ないと思うよ」



病的な痩せ方ではないが、オリヴィアの体は同じくらいの歳の女子よりも痩せ気味ではある。


本人はたいして気にしていないが、ノエルとクレアはどこか心配そうにしていた。






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