An opening of such a love
「今年も恒例の警備員いじめあるんすかね?」




「あるだろな」





俺は憂鬱な気持ちだった。


毎年あるこの警備員いじめ。




暴力を振るわれるわけじゃねえけど


やじが飛んでくる。




制限すると止めるなとか


回り道させると遠回りだとか。




俺が決めるんじゃねえ。




大体制限しねえとドミノ倒しになるだろうが。




遠回りさせねえとそこが混雑して一般のやつら迷惑がかかるだろ?




そんなこともかまわず自分らのことばっかいいやがって。




俺らはお前らのために制限してるんだよ。




そんなこともわかんねえやつらを


俺は入場制限したいくらいだぜ。
      




「俺ら何も悪いことしてないっすよね」




「ああ。でもいつもやじられるのは警備員だな」





おっさん警備員。


もといこの人も俺の上司だけど。




同じ場所に配属された北南さんと話す。




確かに給料はいいけど


俺もこのときばかりは警備員をやめたくなる。




いっそのこと大雨でも降ればいいのにって


毎年思うけど




俺が彼女作ればいいだけか。
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