An opening of such a love
「すず、見える?」




「んーかすかに見える」





女の子の声が聞こえてきた。


そりゃ見えねえわな。




俺だってあんまり見えないし。




特に女の子は見えねえかもな。


かわいそうに。




こんな人ごみの中来たのにさ。




ふとその子のほうに視線を向けると


気分の悪そうな顔をしてる。




人ごみに酔ったんだろうな。




なぜか俺はその子から目が離せなかった。




そしてその子は友達から離れ
人ごみを避けた場所に移動していく。


「すいません。ちょっと気分悪い人いるみたいなんで俺見てきます」


北南さんにそう言い



俺は人を避けて彼女に近づく。




本当に気分が悪いみたいだ。




俺はハンカチを口に押さえてしゃがみこんでいる彼女に近づいた。
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