An opening of such a love
「あの・・・仕事いいんですか?」




「君を一人にしてられないよ。ってのはかっこいいけど実は口実。座りたかったんだ俺も」





彼女をベンチまで連れていくと彼女がそう言う。



やっと座れた。




本当は座りたいのが口実で君を一人にしてられないのが本当だったりするんだけど。




でも彼氏と来てたりしたらまずいよな。




こんなかわいい子が彼氏持ちじゃないわけないし。




さっき聞こえた声も彼女じゃないかもしれないしな





「彼氏に連絡しなくても大丈夫?」




「・・・友達と来たんです。彼氏なんていませんよあたし」






マジかよ?こんなかわいいのに。





まあ彼氏がいたら一人にするわけねえな。




でもその友達も白状だな。




彼女がしんどいのに自分達だけで


花火見てさ。





「友達もひどいね。一緒にいてくれればいいのに」




「そんな。彼女たちは花火見たいと思いますから」




「優しいんだね。君は花火見れなくてほんとにいいの?」




「・・・いいんです。あたしは別に最初から来たかったわけじゃないですし。友達に言われて来たって感じですから。彼氏がいたら別だったかもしれないですけど」




「そっか。俺もそんなもんかな。彼女いないから出勤させられたってやつ」





俺のその言葉に彼女は目を丸くして驚く。




そんなに俺に彼女がいないってこと驚くことか?




まあそれはそれで嬉しいけど。
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