緑の君~神の供物~Ⅲ
夢と現実
ピチョ…。ピチョ…。
学園の裏山に水溜まりが見える。
あぁ…。またなの?
不思議な夢…。
これは水?
ズブズブ…。
身体が沈んでいく。
場面が変わる。
ザァー…。
雨の音が響いた。
寒いような暑いような…。
身体がふわふわしてる。
空気を泳いでいるみたい。
地面に足が付く。
「ここは神社…。あれは。」
何かいた。
見えない何か…。
場面が変わる。
キラキラ輝く…。私の好きな…。
「緑の君…。」
それに白いパールの光。
青み掛かる真っ黒な黒髪に白い服。
「レン君…。」
それと…。それと…。
なんだろう。なんか気持ち悪い。
また水の音に、気持ち悪い。吐き気がするわ。
おいで…。
おいで…。
誰?
夢も現も幻も…。
歌?
クスクス…。クスクス…。
美味しい美味しい月の雫は何処や、何処?
クスクス…。クスクス…。
あぁ、目が回るわ…。
「さゆり…。さゆり…。さゆり!」
「はへ?」
「前田先生が見てるよ…。」
おわ!ヤバい…。
居眠りしててどこやってるかわからん!
必死に教科書ページをめくる…。
先生が当てようと口を開いたがチャイムが響き。
影でガッツポーズ!神様ありがとー♪
そのまま下校し、私の家にて雑談…。
「最近緑の君の様子が変?」
「うん…。」
「そういえばそんな気もしないでもない…。」
「なんか元気ないていうか…。」
「でも彼はミステリアスな人だからねぇ。」
ポッキーをタバコのようにしながらぽりぽり食べるまり…。真面目に聞いてますかぁ…。
「気のせい?」
かなこは方張りすぎぃです。
「はぁ。ため息が…。」
「まぁまぁ奥様、これでも食べて!」
気のせい?なのかな…。
「お茶持って来る。」
「「よろしく!」」
一階に降りると大豆が尻尾を振っていた。あぁ癒しがここに…。
ところが外に飛び出して行ってしまった。
「つれないなぁ。」
「ワンワン!ワンワン!」
「もう、大豆どうしたの?外に…。」
神社には誰もいなかった。灯籠に影が見える。
でも…。
「レン…。君…。」
白い透かしのようで綺麗…。
「やぁ…。」
「どうしたの?」
「ちょっと探し物を…。」
「何か落とした?」
「いや、もう見つかった。そこにいるのはわかってる。」
杉の大木から影が落ちる。
「緑の君?」
「スーリア…。さゆりちゃんこっちを見て…。少し待っててくれ。」
パチン!と指の音が聞こえて金色の光が見えたら体に力が入らなくて…。その場にレン君が座らせた。
「さぁ、はじめようか。アキラ…。正体だしてもらう。アーリアに。」
爪が延びていく。
「そっちこそ…。」
霧が辺りを包みはじめる。
何かが激しくぶつかるような音がしていた。
銀の剣に長い爪が弾かれる。
「大人しく倒されなよ。アキラ…。」
「嫌だと言ったら?」
右肩に剣がかすり、緑色に光液体が飛んだ。
「ここまでにしようか。終わりだ…。」
剣が光、振り落とされる。
「それはこっちのセリフだ…。」
キラキラと糸が光液体で見えた。
「罠か…。」
風を切る音がし白い衣が宙を舞う。横腹に爪が延びていく。
剣が糸を切り二人はぶつかり合う。
レンがさゆりの横に飛ばされ、二本の剣をさゆりに向けた。
「さぁ、どうする?アキラ…。降参するか?」
「くっ…。」
躊躇した瞬間に
「ユエ!切り裂きたまえ!」
剣は円を描いて緑の君を切りつけていく。
「止めて!」
体が動いた。緑の君に飛びついた。
円形の光が横を掠める。
「スーリア…。君は…。」
どうしてそんなに悲しげに見つめるの。
空の月が陰る。
白い影が踊るように剣の光が何かを弾き飛ばした。
「何者だ?」
「何者?あんたも同じだろ?クスクス…。」
鳥…。でっかい鳥…。歯のある鳥…。
私をにたりと見ている。
羽音が聞こえて、金属的な音に変わる。
白い影が立ちふさがり弾き飛ばし、月の剣が鳥を切り裂く。
「大人しく喰わせろあぁ!」
訳のわからない叫びと高い声が耳障りに頭に入ってくる。
数珠が光を放ち始めた。
白い影は動かない。
「レンくん?」
方膝を地面に付いていた。
何かが刺さっていた。
「巫女は渡さない…。」
鳥が羽ばたく。
数珠は光る。
微笑んだレンがいた。瞬きをした瞬間に白い壁。
白い大蛇と大きな鳥が噛み付きあっていた。
ジオラマ?特撮?
鳥を叩きつけ締め付ける。鳥が左目に一撃を与えた。
砂が巻きあがる。
レンが左目を押さえていた。
「逃げろ、巫女…、まだ制御できない。」
鳥形人間がこちらを見ていた。
月が見えた。
綺麗な満月。
冷気に振り返る。
ゆらゆらと立ち上がった緑の光が長い髪と爪…。それに瞳が見えて…。
冷たい風が吹き付ける。
鳥形人間をその爪で貫いた。
早すぎて何が起こったかわからなかった。
糸に絡まる鳥形人間は消えてしまった。
「緑の君?」
光る瞳がこちらを見ていた。
近づく私をレンくんが掴んだ。
私は首をふる。
「クルナ…。」
小刻みに動いた体。
「イヤダ…。」
苦しそうに呻いて私を見た。
爪が私を捕らえる。
「イヤダ!」
爪が緑色の液体を流す。
その腕を掴んだ。
数珠が光を放ち腕から全身に広まる。
拡散した光が地面に吸い込まれていく。
「緑の君、嫌だよ。」
「君を傷つけるのは嫌だから、さゆりに傷つけるくらいなら自分が傷ついた方が…。すぐ治る。」
「私が嫌なの!」
「ごめん、泣かないで。」
涙は止まらない。出してと涙は言ってるみたいにどうしようもない。
「巫女を泣かせたな。」
「?!」
レンは去って行く。
「アーリア、君は…。」
水が上から落ちてきた。
また水?!こんどは何が?
*****************
ばしぃ!と肩に鈍い痛みが…。
「居眠りとはいい度胸じゃ。」
山姥! !
じゃなくておばあちゃん…。
あぁ夢か…。
ここは山小屋の…。二人はいるわけがない。人里離れたこの修行場に。滝に打たれて死にそうだったし。
「さゆり!」
「すみません。」
無心よ、無心。あと少しの辛抱だ。
一ヶ月前…。
祭りが終わり山に修行。秋休みなんてあっという間に終わり。
テストやら何やらで何事もなかったように寒い冬が来そうな今日この頃、山小屋の唯一の癒し系の少年とも別れて現実に戻ったら。
「なーに黄昏てんの?」
じとりとまりを見る。
「テストの点が悪かった?」
悪友とはまりのことだろう。しらばっくれている。
遂に私のオーラを読み取ったのか降参…。
「さゆり、許してぇ。まさか本当に劇に出るなんて思わなかったの!部長がノリノリでさぁ~♪さゆりなんてイメージぴったりて言ったらどうしても!なんて止まらないんだから、演劇部は熱い人が多いから!…。許してぇ。さゆり!」
修行から帰ってきた途端に災難が、日陰に静かに暮らしたい。
「文化祭の劇にでるの?ミューズ役?さゆりぴったりじゃない。」
かなこ…。
新作のチョコレート口に付いてる。
「でしょ!誰かいないかて部長が言うから。セリフないのが残念なをだけど。」
人前、しかも大勢の前にいるなんて考えただけで。いやぁ!ノウセンキュウですよ!
「しかもなんか聞いたら緑の君もでるとかなんとか。」
「えっ?」
どこから出てきたのかだて眼鏡。
「まり様のデータに間違いなし♪名づけて、ラブに一撃大作戦!
「やりますわね♪奥様!」
「でしょでしょ?かなこの奥様!」
「えーと、もしもーし?」
二人はきゃっきゃっと盛り上がる。
妄想奥様会話がエスカレート。
怒りはどこかに消えた。
心配してくれてるみたいで。
「ケンカしてないよ。」
ピタリと二人の動きが止まる。
「ありがとう。」
二人が赤くなる。
「?」
「奥様これは犯罪的ですわ。」
「確かに無自覚だし。」
二人に抱きつかれた。
「きゃ!」
「よーし!今日はお詫びもかねてまり様がおごってしんぜよう!もちろん行き付けまり様的イケメンランキングの店で。」
「やったー!」
「かなこはだめ。」
「そんなぁ~。」
「私の財布が泣くから!」
イケメンカフェにてチーズケーキを食べることに。
「…。何故。どうして…。」
「何か言った?」
「レンくん…。」
かなこが叫ぶ!
「チーズケーキホールで下さい!」
「かしこまりました。」
白い歯が光る。あぁいろんな意味で目眩が。まぶしい。日陰はどこ?!
学園の裏山に水溜まりが見える。
あぁ…。またなの?
不思議な夢…。
これは水?
ズブズブ…。
身体が沈んでいく。
場面が変わる。
ザァー…。
雨の音が響いた。
寒いような暑いような…。
身体がふわふわしてる。
空気を泳いでいるみたい。
地面に足が付く。
「ここは神社…。あれは。」
何かいた。
見えない何か…。
場面が変わる。
キラキラ輝く…。私の好きな…。
「緑の君…。」
それに白いパールの光。
青み掛かる真っ黒な黒髪に白い服。
「レン君…。」
それと…。それと…。
なんだろう。なんか気持ち悪い。
また水の音に、気持ち悪い。吐き気がするわ。
おいで…。
おいで…。
誰?
夢も現も幻も…。
歌?
クスクス…。クスクス…。
美味しい美味しい月の雫は何処や、何処?
クスクス…。クスクス…。
あぁ、目が回るわ…。
「さゆり…。さゆり…。さゆり!」
「はへ?」
「前田先生が見てるよ…。」
おわ!ヤバい…。
居眠りしててどこやってるかわからん!
必死に教科書ページをめくる…。
先生が当てようと口を開いたがチャイムが響き。
影でガッツポーズ!神様ありがとー♪
そのまま下校し、私の家にて雑談…。
「最近緑の君の様子が変?」
「うん…。」
「そういえばそんな気もしないでもない…。」
「なんか元気ないていうか…。」
「でも彼はミステリアスな人だからねぇ。」
ポッキーをタバコのようにしながらぽりぽり食べるまり…。真面目に聞いてますかぁ…。
「気のせい?」
かなこは方張りすぎぃです。
「はぁ。ため息が…。」
「まぁまぁ奥様、これでも食べて!」
気のせい?なのかな…。
「お茶持って来る。」
「「よろしく!」」
一階に降りると大豆が尻尾を振っていた。あぁ癒しがここに…。
ところが外に飛び出して行ってしまった。
「つれないなぁ。」
「ワンワン!ワンワン!」
「もう、大豆どうしたの?外に…。」
神社には誰もいなかった。灯籠に影が見える。
でも…。
「レン…。君…。」
白い透かしのようで綺麗…。
「やぁ…。」
「どうしたの?」
「ちょっと探し物を…。」
「何か落とした?」
「いや、もう見つかった。そこにいるのはわかってる。」
杉の大木から影が落ちる。
「緑の君?」
「スーリア…。さゆりちゃんこっちを見て…。少し待っててくれ。」
パチン!と指の音が聞こえて金色の光が見えたら体に力が入らなくて…。その場にレン君が座らせた。
「さぁ、はじめようか。アキラ…。正体だしてもらう。アーリアに。」
爪が延びていく。
「そっちこそ…。」
霧が辺りを包みはじめる。
何かが激しくぶつかるような音がしていた。
銀の剣に長い爪が弾かれる。
「大人しく倒されなよ。アキラ…。」
「嫌だと言ったら?」
右肩に剣がかすり、緑色に光液体が飛んだ。
「ここまでにしようか。終わりだ…。」
剣が光、振り落とされる。
「それはこっちのセリフだ…。」
キラキラと糸が光液体で見えた。
「罠か…。」
風を切る音がし白い衣が宙を舞う。横腹に爪が延びていく。
剣が糸を切り二人はぶつかり合う。
レンがさゆりの横に飛ばされ、二本の剣をさゆりに向けた。
「さぁ、どうする?アキラ…。降参するか?」
「くっ…。」
躊躇した瞬間に
「ユエ!切り裂きたまえ!」
剣は円を描いて緑の君を切りつけていく。
「止めて!」
体が動いた。緑の君に飛びついた。
円形の光が横を掠める。
「スーリア…。君は…。」
どうしてそんなに悲しげに見つめるの。
空の月が陰る。
白い影が踊るように剣の光が何かを弾き飛ばした。
「何者だ?」
「何者?あんたも同じだろ?クスクス…。」
鳥…。でっかい鳥…。歯のある鳥…。
私をにたりと見ている。
羽音が聞こえて、金属的な音に変わる。
白い影が立ちふさがり弾き飛ばし、月の剣が鳥を切り裂く。
「大人しく喰わせろあぁ!」
訳のわからない叫びと高い声が耳障りに頭に入ってくる。
数珠が光を放ち始めた。
白い影は動かない。
「レンくん?」
方膝を地面に付いていた。
何かが刺さっていた。
「巫女は渡さない…。」
鳥が羽ばたく。
数珠は光る。
微笑んだレンがいた。瞬きをした瞬間に白い壁。
白い大蛇と大きな鳥が噛み付きあっていた。
ジオラマ?特撮?
鳥を叩きつけ締め付ける。鳥が左目に一撃を与えた。
砂が巻きあがる。
レンが左目を押さえていた。
「逃げろ、巫女…、まだ制御できない。」
鳥形人間がこちらを見ていた。
月が見えた。
綺麗な満月。
冷気に振り返る。
ゆらゆらと立ち上がった緑の光が長い髪と爪…。それに瞳が見えて…。
冷たい風が吹き付ける。
鳥形人間をその爪で貫いた。
早すぎて何が起こったかわからなかった。
糸に絡まる鳥形人間は消えてしまった。
「緑の君?」
光る瞳がこちらを見ていた。
近づく私をレンくんが掴んだ。
私は首をふる。
「クルナ…。」
小刻みに動いた体。
「イヤダ…。」
苦しそうに呻いて私を見た。
爪が私を捕らえる。
「イヤダ!」
爪が緑色の液体を流す。
その腕を掴んだ。
数珠が光を放ち腕から全身に広まる。
拡散した光が地面に吸い込まれていく。
「緑の君、嫌だよ。」
「君を傷つけるのは嫌だから、さゆりに傷つけるくらいなら自分が傷ついた方が…。すぐ治る。」
「私が嫌なの!」
「ごめん、泣かないで。」
涙は止まらない。出してと涙は言ってるみたいにどうしようもない。
「巫女を泣かせたな。」
「?!」
レンは去って行く。
「アーリア、君は…。」
水が上から落ちてきた。
また水?!こんどは何が?
*****************
ばしぃ!と肩に鈍い痛みが…。
「居眠りとはいい度胸じゃ。」
山姥! !
じゃなくておばあちゃん…。
あぁ夢か…。
ここは山小屋の…。二人はいるわけがない。人里離れたこの修行場に。滝に打たれて死にそうだったし。
「さゆり!」
「すみません。」
無心よ、無心。あと少しの辛抱だ。
一ヶ月前…。
祭りが終わり山に修行。秋休みなんてあっという間に終わり。
テストやら何やらで何事もなかったように寒い冬が来そうな今日この頃、山小屋の唯一の癒し系の少年とも別れて現実に戻ったら。
「なーに黄昏てんの?」
じとりとまりを見る。
「テストの点が悪かった?」
悪友とはまりのことだろう。しらばっくれている。
遂に私のオーラを読み取ったのか降参…。
「さゆり、許してぇ。まさか本当に劇に出るなんて思わなかったの!部長がノリノリでさぁ~♪さゆりなんてイメージぴったりて言ったらどうしても!なんて止まらないんだから、演劇部は熱い人が多いから!…。許してぇ。さゆり!」
修行から帰ってきた途端に災難が、日陰に静かに暮らしたい。
「文化祭の劇にでるの?ミューズ役?さゆりぴったりじゃない。」
かなこ…。
新作のチョコレート口に付いてる。
「でしょ!誰かいないかて部長が言うから。セリフないのが残念なをだけど。」
人前、しかも大勢の前にいるなんて考えただけで。いやぁ!ノウセンキュウですよ!
「しかもなんか聞いたら緑の君もでるとかなんとか。」
「えっ?」
どこから出てきたのかだて眼鏡。
「まり様のデータに間違いなし♪名づけて、ラブに一撃大作戦!
「やりますわね♪奥様!」
「でしょでしょ?かなこの奥様!」
「えーと、もしもーし?」
二人はきゃっきゃっと盛り上がる。
妄想奥様会話がエスカレート。
怒りはどこかに消えた。
心配してくれてるみたいで。
「ケンカしてないよ。」
ピタリと二人の動きが止まる。
「ありがとう。」
二人が赤くなる。
「?」
「奥様これは犯罪的ですわ。」
「確かに無自覚だし。」
二人に抱きつかれた。
「きゃ!」
「よーし!今日はお詫びもかねてまり様がおごってしんぜよう!もちろん行き付けまり様的イケメンランキングの店で。」
「やったー!」
「かなこはだめ。」
「そんなぁ~。」
「私の財布が泣くから!」
イケメンカフェにてチーズケーキを食べることに。
「…。何故。どうして…。」
「何か言った?」
「レンくん…。」
かなこが叫ぶ!
「チーズケーキホールで下さい!」
「かしこまりました。」
白い歯が光る。あぁいろんな意味で目眩が。まぶしい。日陰はどこ?!