7人のメガネ男子にごちゅーい!
「おい、直樹。あんま、優花の体に期待するなって。幼児体型すぎて泣くぞ」

自分で言ったくせして大笑いしている風真君。本当にヒドい……。

「ぅう……。雪斗助けてよ……」

私は雪斗の背中に顔をうずめる……。ちょっと息苦しい…。雪斗の香り安心する。
小さい頃から何にも変わってない。

「もう、風真!優花の事イジメないで!僕怒るよ!」

雪斗は私の鞄を持ちながら怒る。…って、雪斗が怒っても迫力無いんだよな…。

「怒ってみろよ」

ニヤッと意地悪な笑顔をする風真君。マジで、愛美に頼もうか……。

「風真、いい加減ヤメたら?好きな子に相手にされないよ」

藍が風真君にキツい口調なのに笑ってる。なんか、ドヤ顔みたいな感じ。

「うっせぇ。チビ藍。早く成長しねぇとお前こそ好きな相手に相手にされねぇぞ」

「僕は、可愛いって言われるから良いんだ。格好いいとも言われたしね」

「………チッ」

「コラコラ。玄関前で喧嘩は、よしなさい。早く帰るよ」

「優花、靴履いてからまた、おんぶしてあげる。まず、靴履こうか」

雪斗は、私の靴箱の前まで、連れてきてくれた。

「んっ……。ありがとう。雪斗」

私は上靴をぬいで、外靴に履き替える。雪斗が私の靴箱の中に上靴をしまってくれた。

「大丈夫?優花」

………。私、腰抜けたの治ったかも…。

「雪斗、私、腰抜けたの治ったかもしれない」

「本当に?立てる?」

雪斗が私に手を差し伸べる。私は雪斗のおっきな手を掴む。掴んだ瞬間冷たい私の手と温かい雪斗の手の温度が混ざる。二人の温度が混ざり合い丁度良い温度に瞬時に変わる。

「ありがとう。ほら、立てたよ!」

「ほん…」

「本当だ。良かったね?優花」

雪斗の言葉をサラッと無視して、ギュッと藍が後ろから私に抱きつく。

「ぅわっ!ビックリした……。うん!本当に腰抜けてビックリしたよ。絶対にもう、直樹君のメガネを外さない」

「ん?俺がなんだって?……って、藍ズルい。俺も優花ちゃんに抱きつく~」

藍とは反対側の前から直樹君が私に抱きつく。ぐぅ……動けない……。
ガンッと鈍い音がした。風真君が二人の頭を殴った。

「いたっ……」

「いてっ……」

「優花が苦しそうな顔してたんだよ」

「…………ねぇ?俺ら、いつ帰れんの?」

今まで静かだった要君が発した言葉は、不満たっぷりの声だった。

「早く帰ろ?」

私が要君の言った事と同じような言葉を優しく言う。

「俺も早く帰りたいぞ」

会長が文句を言う。当たり前だよね……。
結構時間かかってるもん。

「じゃあ、皆靴を履いた事だし。また、明日」

蓮さんが号令みたいなモノを掛ける。それに、合わせて皆がそれぞれ挨拶をしていく。
私と雪斗が皆と反対方向に歩き出した。

「優花は、いつも家で何食べてるの?」

隣にいる雪斗が下を向きながら聞いてきた。

「うーん。殆ど手作り料理食べるよ?でも、何で?」

「なんか、心配で……。ほら、管理してくれる人が家に…居ない訳だし…。一応、幼なじみとして、心配で…」

「ありがとう。でも、もう慣れたし。私、高校生だよ?自分の管理はもう出来るようになったよ」

「そう…だよね?面倒くさい時は僕の家でご飯食べて良いからね?」

「うん。ありがとう。本当に雪斗は優しいよ」

「優しく無いよ。大切な人を心配するのは当たり前だよ。優花は、僕の大切な人だから」

「私も、雪斗と愛美は大切な人だよ」

「ァハハ……。本当に鈍いな…」

「ん?何が?」

ブワァッと強い風が、吹く。砂埃が上に上がって、目に入る。地味に痛くて涙が出てくる。
擦らないように、擦らないように。

「大丈夫?砂埃が目に入ったんでしょ?」

「痛い…」

目がゴロゴロする。

「もう少しで僕の家だから、頑張って?」

「うん……。頑張る…」

テクテクとゆっくり歩いても、雪斗は文句の一つも言わない。雪斗は、優しすぎるんだ。私の小さな歩幅に合わせてくれる。雪斗の小さな優しさに感動する……。

「……。ほら、優花が頑張ったから僕の家に着いたよ」

「ふふっ……。雪斗って本当に…」

純粋と言うか、優しいと言うか。雪斗は優しさで出来てるね。優しさの塊だよ。いつも、いつも優しい。私は雪斗に甘えすぎてる感じがしてきた…。
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