7人のメガネ男子にごちゅーい!
「あ……ぃ?」

「あぁ……ごめん。優花が見つかって安心したら、無意識に抱きしめてた」

私を藍から離してヘヘッっと笑う藍は本当に可愛かった。

「かいちょー、何で藍は良いんだよー!!」

「藍は何もしてないからな。生徒会委員に迷惑をかけてない。お前と違ってな」

「じゃあ、雪斗は?」

直樹君は諦めが悪いのかな?

「雪斗は、お前のせいで暴走したんだ。雪斗に
罰は必要無い」

「会長ありがとう」

雪斗が会長に笑顔でお礼を言った。まだ、あどけなさが残る笑顔は小さい頃から変わって無かった。

「ぇえ……。一週間我慢出来るかなぁ……」

「誰が一週間って言った。“最高”一週間禁止だ。っと言ったんだ。最悪は、一生無理だからな」

「ええぇ!!じゃあ、例えば、俺と優花ちゃんが付き合った場合も抱きしめたらダメなの?」

「それは無いから大丈夫だ」

「かいちょー、ひど!」

「はぁ、直樹。早く諦めろ」

要君が呆れた感じで言った。

「もう、時間も遅いし。六時半をこえてるから。帰ろうか」

蓮さんが場の雰囲気に合わないホワワッとした笑顔で皆に言った。

「そうだな。帰るぞ」

会長が命令みたいな事をする。皆は、着々と帰る準備をしていく。私は、皆より遅れないように、素早く帰る準備をする。

「終わった」

「おせぇよ。幼児体型女」

「ぇっ……?」

辺りを見渡すと皆は、既に終わっていた。

「皆、早いね。何で?」

「分かんない。いつもこんな感じだよ?」

うんうん、っと皆が雪斗の言葉に頷く。

「そうなんだぁ……。遅くなってごめんね?」

「大丈夫だよ。優花」

藍が優しく微笑む。もう、天使みたいだ。

「ありがとう。藍。じゃあ、もう帰りますか」

「一番遅かったお前が何で言うんだよ…」

風真君が呆れた顔で私を見てくる。

「誰が言ったって変わりは無いわよ」

ふんっ、っと私がそっぽを向く。

「幼児体型女は頑固だな~。ハハッ」

「風真、ヤメな。優花をイジメるな」

藍が私の前に立つ。背が一番低い藍だけど、それでも藍は普通より断然背が高い。

「チビが良い子ぶるな」

風真君が藍の頭を撫でる。

「ちょっと、ヤメてよ。触らないで」

本当に嫌がってるし。生徒会委員って仲悪いのかな?個人個人だと、たまに仲良さそうに見えるのに……。

「ほっほら、もう帰ろう?七時になりそうだしさ!」

「……。そうだね。優花の言う通りだ。もう、帰ろう」

「あぁ……」

皆で、何故か無言で玄関に行った。なっ、何で無言なんだろ?

「……………」

「皆、靴履いたか?」

履いたーと言う声がバラバラに聞こえる。

「履いたな?……じゃあ、また明日な」

会長に続いて皆が挨拶をしていく。皆って意外にちゃんと挨拶するんだよな。

「優花、一緒に帰ろ?」

雪斗がいつもと同じように言ってくる。もちろん、私は…。

「良いよ」

ニコニコと私が笑う。雪斗は下を見たり、上を見たり、とバラバラ。

「じゃ、じゃあ、帰ろう」

私と雪斗は皆と道が違う方向に家がある。皆が見えなくなる。

「優花…。今日はごめんね……」

雪斗が、メガネを外した時の事を謝る。でも、私はもう気にしてない訳で。

「謝らなくて良いよ。直樹君が悪いって事になったんだし。直樹君には悪いけど…」

エヘヘッと私が雪斗に笑いかける。雪斗も、アハハッと笑う。

私は足下にあった小石を蹴った。その小石はコロコロッと道路側に落ちていった。私が蹴った小石を車が潰した。

「ぅん。ありがとう。優花」

「大丈夫だよ。雪斗は気にしなくて良いの」

「ハハッ。優花はやっぱり優しいや……。小さい頃から変わってないよ」

「ぇっ?雪斗の方が優しいよ。いつも、ニコニコ笑ってるし。後、雪斗は優しいからモテるんだしさ?……私なんて、遊びに誘われた事が無いのに……。女子しか…」

自分で行って悲しくなってきた。

「優花の事が好きな男子は沢山いるよ」

雪斗が上を見たまま私に言う。

「それは、無いよ。だって告白された事無いし……。私の事を好きって態度の男の子も見た事無いしさ……」

「えー。鈍感過ぎるよ。優花は本当に。じゃあ、男の子に抱きつかれても、それは好きって態度じゃないの?」

「だって、抱きつくって、私の事を友達として、とか幼なじみとして、大切って事じゃないの?」

「もう…良いよ。ぅん……」

「何それ。酷いな~」

「酷いのは優花だよ。優花の事が好きな男子が本当に可哀想だよ……」

「えっ、ちょっ何それ!酷いよ、それは」

私が泣きそうになると雪斗が笑う。

「だって、本当の事じゃん。気づかれないって事が一番悲しい事だよ。優花の事が嫌いになれないなら尚更ね」
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