7人のメガネ男子にごちゅーい!
「そうなの?嫌い、嫌いって毎日考えてたらいつかは、嫌いになれるんじゃない?」

「それは、無理だよ。好きだからこそ嫌いになれない。嫌い嫌いは好きのうちって良く言うでしょ?」

「あー。確かに」

あまり、言葉の意味は分からないケド…。

「だから無理なんだよ。優花の事が嫌いになるのは」

「そうなんだ…。その人は大変だね。でも、そんなに私の事が好きな人はいないと思うよ?」

風真君の言う通りに幼児体型だし。

「そんな事無いよ。優花は優しいから」

「いや、絶対にない。だって、私、風真君の言う通りに幼児体型だしさ」

「そんな事無い…って」

「今、一瞬止まったじゃん!」

「とっ、止まってない!」

「止まったよ…!」

「止まってないよ…!」

「もう、良いよ。雪斗は酷いな。本当に」

プンプンっと効果音をつけながら、私は早足で歩く。でも、雪斗は私より断然脚が長いからすぐ追いつかれる。

「ごめんって。優花は幼児体型じゃないって。信じてよ…」

私の顔を覗き込む雪斗。私は、思わず足が止まる。

「もう、分かったって!信じるよ…。でも、やっぱり私は幼児体型なんだってば!」

「そんな幼児体型の優花も可愛いって」

「それ、フォローになってないわよ!ほら、雪斗だって私の事が幼児体型って思ってたんだ」

私は雪斗を下から睨む。雪斗は顔を真っ赤にして、私を見る。

「……………」

「何で顔が真っ赤なの?」

「おっ、教えない……。優花に言っても絶対分からないから」

私の前を先にスタスタッと歩いてく雪斗。女の私が追いつけないっていう事位分かるよね?!

「ちょっと、雪斗!待って…」

私はちょっとだけ走る。雪斗は待ってくれてた。

「優花、大丈夫?」

「はぁ、はぁ。何、で先に行くのさ……」

「ごめん。でも、もう着いたじゃん」

「あっ、本当だ…」

もう着いちゃったか……。嫌だな…。一人になるのは……。怖くて、寂しくて。お母さん達を殺した飛行機が憎くて…。自分が自分じゃなくなるのが怖い……。

「ドアの前まで送る?アパートは夜、ちょっと怖いから?」

「えっ?良いの?雪斗、時間大丈夫なの?」

「大丈夫だよ」

ニコッと笑う雪斗が天使に見えた……。

「ありがとう。じゃあ、行こ!」

「うん」

私と雪斗は、階段を上って私の家のドア前まで行く。

「ありがとう。雪斗」

「……………」

私はニコッと笑って鍵を探して鍵穴に鍵をさす。雪斗は、何故か帰ろうとしない。私は、部屋に入るまで見てくれてるんだと思って気にはしなかった。

雪斗はずっと無言だと思ったら、急に後ろから抱きしめられた。

「雪斗?どうしたの?」

「…………少しの間ちょっと黙ってて?」

「えっ?うん。分かった…」

それから、何分間か雪斗に抱きしめられてた。背中に雪斗の鼓動が聞こえる。凄いドキドキしてる。安心するな…。雪斗の鼓動は。

「………僕が優花を抱きしめたら、嫌だ?」

「ん?全然嫌じゃないよ?当たり前じゃん」

ふふっと私が笑うと雪斗はそうだね。と言って私から離れた。

「優花が、一人が怖いって言うなら僕がすぐに、優花のそばに居てあげる。だから、怖いなら僕に言えば良い」

「ぅん。ありがとう…」

私は泣きそうになったケド、頑張って涙を止める。

「どう致しまして。……じゃあ、また明日」

「うん。また明日」

雪斗はニコッと笑って私の頬にキスをして、走って階段を下りて行った。

「ビッ…クリしたぁ」

私は鍵を開けて部屋に入る。電気がついてない暗い部屋は寂しくて怖かった。二年前の受験日は、まだ明るい部屋だったのに。

お母さんの料理の美味しそうな香りと、お母さんのお帰りの声。お父さんがお笑いを見て笑っている声。
全てが当たり前だった。

当たり前過ぎて気づかなかった幸せ。無くなってから気づく幸せ。全てが遅すぎた。

「雪斗……」

もう、雪斗を頼っちゃいそう…。愛美は、喧嘩だから、頼ったらダメなんだ。今、凄い大変な時期。邪魔はしてはダメ。

「ぅぁ………ふっ………」

泣かない、泣かない。弱音を吐いたらダメ。パンパンッと自分の頬を叩く。ヒリヒリする頬に神経を通わせる。痛みに気をとられてるうちに、お風呂に入ってお笑いを見ようかな?

「お父さんが好きなお笑い芸人は誰だっけ?」
あっ、早くお風呂入ろーっと!!
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