7人のメガネ男子にごちゅーい!
「藍、引いて良いよ」

蓮が微笑む。………何で、蓮は、こんなにも皆に親切に出来るんだろう?しよう、と思って出来る事じゃ無いよね……。

「藍?」

「あっ、ごめん。ありがとう、蓮」

「全然大丈夫だよ」

僕は、残り二枚の紙で手に当たった方を適当に選ぶ。実は、僕もクジ運が悪い。

「はい、残りの紙は蓮ね?」

「ありがとう。直樹」

「じゃあ、一人ずつ言って。まず、会長から」

「俺は、二」

「あっ、僕も二」

会長と雪斗がペア。

「じゃあ、次は……要」

「俺は、四」

「俺も、四」

要と蓮がペア。

「優花ちゃんは?」

「私は……」

…………。本当に、僕ってクジ運が悪い。

「ちょっとー。藍、待ってぇ…って優花ちゃんに言われたらどうする?」

「直樹、ちょっと黙ってて。うるさい。死んで」

「ちょっと、酷いよー!!」

「キィキィうるさい。お化けに食べられて、どっか行って…」

もう、何で僕が直樹何かと!!本当に、最悪。まだ、雪斗の方が全然良いよ。

「藍ー。私の事守ってぇ……って優花ちゃんに言われたらどうす…」

僕は、直樹の顔面を平手打ちでブッ叩く。

「いってぇ……。藍、最低!!俺の、大切な顔が……」

「もう、本当にうるさい。優花は、そんな下品な声じゃない。もっと、可愛い声だ」

「下品とは何だ?!失礼だな」

あぁ、もう死んでほしい。優花は、三って言った。風真が三だった。直樹が一。僕も一。本当に、クジ神様を呪ったよ。

「はぁ、しかもこのお化け屋敷全然怖くないし…。優花と居たら、まだ良かったよ」

「俺だって優花ちゃんが良かったよ!」

「そうですか。本当に、直樹とか僕本当にクジ運無いよ……」

「ちょっと……。酷すぎない?………て言うか、藍って何で優花ちゃんの事を好きになったの?」

「………優花の事を守ってあげたかった。家族が居ないなら、僕となれば良いって思った。優花の事を幸せにしたいって思った。これが、本当に人を好きになるって事かって思った。僕は、本当に優花が好き。だから、皆には負けない。絶対に…」

「ふーん。意外に藍って独占欲強いんだ……。わぁっ!!……ビビった…」

「僕は、独占欲が強いんじゃない。優花の事が好きなだけ」

そうだよ。優花が好きなだけ。こうして、今優花の事を話してるけど、優花の事を話してるだけでドキドキしてる。

「そう。俺も本気出さないと…。会長、早くあの行動すれば良いのに。俺、もう手出しちゃいそう…。藍も…でしょ?」

直樹が、いつものおちゃらけた声では無く、本気の男の声になってた。あぁ、直樹も人の事を本気で好きになるだ。と、初めて実感した。

「当たり前じゃん。好きな女の子がいるなら、早く自分の物にしたい。って思うのは僕達、男の欲望だ」

「まぁ、そうだね。……でも、欲望が強過ぎると、いつか後悔する……」

お腹を空かせたライオンが、怪我をした小さな兎を見つけた。だけど、ライオンはそんな小さな兎では、お腹が膨れないと思って違う獲物を狙った。けれど、ライオンは狙った獲物に逃げられた。仕方無く怪我をした兎を食べようとして、さっきの場所に戻ると兎は逃げてた…。

欲望が、強過ぎると、この話のライオンみたいになってしまう。

だから、僕達は小さな事でも本気を出すんだ。好きな女の子と一緒に居たいから。好きな女の子と気持ちが同じ気持ちになりたいから。

「後悔しないうちに、小さな事でも本気を出せば良い……。ただ、それだけの事だ……」

僕は、冷たく言い放つ。直樹は、僕の考えは間違って無いと言う。女好きの直樹に言われるんだから、確かに間違っていないんだろう。
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