7人のメガネ男子にごちゅーい!
────チュンチュン

私と藍は、学園の裏庭に行く。

小鳥が鳴いている。いや、もしかしたら泣いているのかもしれない。私みたいに、両親とはぐれて。両親がいなくなって…。

「んん……。はぁ……。今日はいい天気」

藍が腕を伸ばしリラックスした……。

「…………っ」

私はさっきから涙が止まらない。あの時に…一生分泣いたと思ってたのに……。

藍の足音が私に近づく。

「……………」

「………ぇ?」

私が気づいた時には、藍の胸の中だった。久しぶりに感じた人の体温は凄い温かかった。藍は…甘い香りがした……。

「ここなら、誰もこないし……。泣きたいなら、思いっきり泣けばいい……」

「………ぅっ…うわーんっ」

私は久しぶりに人前で泣いた。

藍の声は昨日よりちょっと低くて…優しくて…。安心した…。お葬式では頭が真っ白で感情もなかった。

親戚に邪魔者にされて…。私の心はボロボロで、粉々になりかけだった。

愛美や雪斗がいたから心が徐々に修復されていった。でも、家に帰れば泣いてばかり。愛美達に心配をかけたくなくて…。

いつも、強がって生きていた。愛美達の前では泣かないように頑張った。

そして自分に嘘をついた。もう、寂しくない。1人でも生きていける。大丈夫だ。親戚なんかに頼らない。絶対に…。

「……………」

藍は私の背中をさすってくれてた。普通の人なら、何か言葉をかける。

でも、藍は何も言わなかった。裏庭では、私の泣き声と小鳥の鳴き声しかなかった。

「………………」

私は思いっきり泣いてスッキリした。でも、泣き止んだって言い出せなくて……。

2人の間には、無言が続いた。

「………優花、落ち着いた?」

「はい………」

「そう。一時限目は、サボろうか。……というか、今一時限目始まったんだケド」

「ぇえ!?早く戻らないと…」

「だから、一時限目はサボろうかって今言ったじゃん。話ちゃんと聞いて」

「ごめんなさい…」

さっきまでは優しかったのに…。昨日の怖い藍に戻った…。

「優しくなくて、すみませんね。優花さん」

「えっ……?」

「顔に書いているよ。優花は顔に出すぎ」

「ごめんなさい…」

「まぁ、最初から僕は優しくないからね。雪斗と違って」

「ぃや、藍…も優しいよ…です」

「何それ……」

藍は目を細めて笑った。本当に男の子?って感じ。うん、可愛い。

藍の少し長い髪の毛が風に靡く。藍は自分の髪の毛が邪魔なのか、髪の毛を耳にかけた。その…藍の仕草は格好良かった。ちょっと、ドキッとした。

「ぁの、私が泣いた事…。雪斗に言わないで下さい…」

「うん、分かった。ていうか…敬語ヤメない?同い年なんだからさ」

「はい……、じゃなくて、うん」

「うん。良くできました」

「ふふっ」

「……………」

私が笑うと藍がそっぽ向いた。空が好きなのかな?昨日も空を見てたし。

「藍?どうしたん……の?」

敬語になる所だった。危ない、危ない……。

「いや、なんでも……」

「そっか……。……今更だけど、何で私なんかを会長は生徒会委員にしたんだろ?藍、分かる?」

「分かる訳無いじゃん。僕は会長じゃないんだから。でも、思い当たる節は、優花が会長にキレた事だね。会長も僕らもビックリしたよ」

昨日の事を思い出し、心に罪悪感が募った。

「……ごめん……なさい」

「あっ、敬語に戻ってる。お仕置きしないと」

「えっ!?」

「ふ……。冗談だよ。……会長は多分優花に興味を持った」
< 6 / 152 >

この作品をシェア

pagetop