天使の歌

(……なぁ、キュティ……。)

薄れて行く意識の中で、セティは金髪の天使に語り掛けた。

こんなに血と罪に塗れた俺を、労ってくれて有り難う。

俺が捕まる事で、スティが満足して、君を諦めてくれたら良いな。

君と旅を した時間は、ほんの僅かだったけれど。

君は俺に、幸せと、楽しさと、喜びと。

生きる力を与えてくれた。

君が笑っていられるのなら。

俺は、どうなっても良い。

苦しい喉から息を吐き出して。

セティは意識を手放した――。

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