天使の歌
人間
気が付くとキュティは、深い森の中に居た。
「……セティ……。」
キュティは茫然と呟いた。
(……置いて、来ちゃった……。)
私だけ、逃げて来てしまった。
あの躰では、逃げられない。
セティは、捕まってしまったのだ。
「どうして……っ!?」
キュティは その場で泣き叫んだ。
差別され、
迫害され、
忌み子と罵られ、
生まれ育った村を滅ぼされ、
大好きだった義兄を失い、
信頼していた人に裏切られ、
大切な仲間を、奪われた。
私の「大切」は、全部 奪われて行く。
「返してよおぉぉっ!!」
キュティは喉が枯れる程 叫んだ。
どうして、どうして、どうして。
平凡に生きたいのに。
何故 自分は こんなに役立たずなのだろうか。
これから どうすれば。
様々な想いが入り混じり、キュティの胸を締め付ける。
本当に もう、死んでしまいたかった。