天使の歌

着いた先は、太陽の光が全く無い、薄暗い世界だった。

其処に在る光は、月光だけ。

夜なんだろうか。

地界に辿り着いたは良いが、どうすれば良いのか解らなくて、俺は その場に立ち尽くしていた。

逃げ出したい一心で来ちゃったけど、此処には知り合いなんか居ないし、地理も解らない。

困り果てて、取り敢えず歩き出した その時。

「きゃっ。」

直ぐ近くで声が聞こえて、俺は慌てて振り返った。

腰迄 伸びた、艶々の白銀の髪。
大きくて丸い、赤い瞳。
陶器のように透き通った肌。

其処に居たのは、15、6歳の少女だった。

その余りの美貌に、俺は ぽかんと口を開けてしまう。

「貴方 天使……じゃ、ない……?」

少女は手に神霊(みたま)を集めたが、俺の容姿を見て、首を傾げた。

「……どうゆう、事?」

「あ、あの、俺……天界から来ました。天使と悪魔の混血(ハーフ)です。」

俺は慌てて口を開く。

「混血(ハーフ)?」

「はい。天界では、忌み子と呼ばれ、捕まってしまったので、此処に逃げて来たんです。」

少女は俺を、頭の天辺から足の先迄 見て、頷いた。

「確かに、混血(ハーフ)だね。」

少女が理解してくれて、俺は ほっと息を ついた。

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