天使の歌
「天界から来たって言ったよね?行く宛ては在るの?」
「うっ……無いです……。」
いきなり的を射た発言をされ、俺は恥ずかしさに顔を赤くしてしまう。
「……ねぇ、取り敢えず、王様の所へ行く?」
「え?」
「あたし、王様と面識 在るから。」
「えぇっ!?」
俺は驚いて声を上げてしまった。
いきなり、王様の所!?
てか面識 在んの!?
「けっ、結構です!俺、静かに暮らせれば良いんで……。」
「でも、多分 悪魔も、君の事ほっといてくれないよ?」
「え。」
少女の言葉に、俺は固まった。
「多分、自分達と敵対してる天使のスパイだって言われる。」
「…………。」
何も言えなかった。
此処も駄目なら……俺は何処で生きれば良い?
「だからさ、王様に相談してみようよ?てか王様に謁見すれば、スパイじゃないって事の証明にも なるよ。のこのこ姿を現すスパイなんて、居ないもん。」
確かに、その通りだ。
でも。
「貴方は、どうして俺を助けてくれるんですか?」
訊くと、少女は俺に歩み寄った。
そして、俺の右の頬に手を当てた。
「え、ちょ……。」
綺麗な少女に触れられて、俺の心臓が音を立てた。