天使の歌
存在
何も聴こえない
†
「母さんの事、頼むな……?」
吐血しながらも、安心させようと微笑む父。
「最後迄 一緒に居てあげられなくて、御免ね……。」
泣きながら微笑み、謝る母。
――死ね。
――気持ち悪い。
――忌み子。
――穢れ。
――生まれて来なければ。
囁かれる言葉。
(……お父さん……お母さん……。)
――置いてかないで。
踞って、耳を塞いで。
涙を堪えて、歯を喰い縛って。
このまま消えてしまえたら、どんなに楽だろうと考える。
――独りにしないで――。
†