天使の歌

「……はぁ……はぁ……。」

暫く走り続けて、キュティは漸く立ち止まった。

また、裏切られた気分だった。

(……どうして?)

何故、私ばかり、こんな目に遭うんだろう。

平凡で良い。
質素で良い。

――“普通”で居たい。

溢れ出そうになる涙を必死に堪えて、キュティは ふと気付く。

(……此処……。)

良く見知った場所だ。

ネスラさんとネスティの家。

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