天使の歌
謝罪
「……い、ふ……兄弟……。」
キュティは橙の髪の男の言葉を、茫然と繰り返した。
――兄弟が、傷付け合っている?
動揺するキュティには構わずに、橙の髪の男はセティを見遣る。
「早く言え。」
「……だ、れが……っ。」
「良いのか?」
その言葉と共に、キュティを掴んでいた男が、彼女の首に短剣を突き付けた。
「……やめ――。」
「早く言え!!」
橙の髪の男が怒鳴ると。
セティは顔を歪め、口を開いた。
「……に、い……さん……。」
「ははは!こいつは傑作だ!!」
腹を抱えて ひとしきり笑うと、彼はキュティを捕らえている部下を見た。
部下は黙ったまま、キュティから手を離した。
「セティ!!」
キュティは直ぐ様セティに駆け寄った。
「……キュ……逃げ……っ。」
「そんな事 出来ない!!」
キュティはセティを抱き締めた。