天使の歌
安住の地
「ねぇ、いつ結婚してくれるの?」
「結婚なんて まだ早いよ。俺は まだ、10歳だよ?」
笑いながら そう返すと、彼女も いつものように笑ってくれる。
「えー、じゃあ、貴方が18歳くらいに なったら、結婚してね。」
「その頃も、付き合ってたらね。」
「ひどぉい!そんな話しないでよ!」
彼女は明るく笑う。
その笑顔が眩しくて、君は此処に居て良いんだよって、言われているみたいだった。
「……でも……。」
ふっと、彼女が真顔に なる。
「……起きて。」
「え?」
噛み合わない会話に、訊き返すと。
彼女は僕の手を握った。
「お願い、起きて……。」
「……シーク?」
彼女の名を呼ぶ。
どうして、泣いてるの?