産まれる。



ボクの大きな脳に


ある信号が届いた気がした。



ボクはその信号がなにを意味しているか

よく分からなかったけれど


ママがボクに何かを伝えようとしていたのかもしれない。




そう言えば、前にママが言ってた。




「あなたが大きくなったら

パパみたいなたくましい腕で、私を抱きしめてね」って。



ボクが産まれたら


真っ先にママを抱きしめようと

その言葉を聞いて思ったのだ。





パパとママは


今幸せなのかな。

神様、どうか、ママを・・・・


ママを幸せにしてください。









ママは何かを恐れているのかもしれない

何か、危ないことをするかもしれない




ボクはそう思った。




必死にママ!ママって呼んでも


まだ未熟なボクには

どうすることもできない。






その瞬間


ママの体がグラっと揺れたのを感じがして

驚きのあまり、一瞬何が起こったのか分からなかった。




「殺してやる・・・!」


ママの叫び声だ。



ボクは思いっきり

小さな耳を傾け、恐らくパパに向けだであろう


その声を聞くことにした。







聞いちゃだめ、って言われた気がしたけれど


なんとなく そのときのボクは


聞こうと思った。







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