ナピュレの恋【完】
初めは何となく気になって入った「ナピュレ」の店。
それが、こんな素敵な出会いがあって夫婦になった。
そして何かの噂で。
“ナピュレで出会うと恋が叶う”と…。
いつしか裕也のお店は「ナピュレ」ではなく「ナピュレの恋」と呼ばれるようになった。
そんなお店で今、あたしは裕也と一緒に働いている。
「なつこ、これ持って行ってくれる?」
「はーい」
前まではカウンター席しかなかった店だが、テーブルを置き更に人が座れるようになった。
なつこが働くようになってから女性客だけだった店だが、男性客も徐々に増えるようになった。
そこで出会いがあって恋人になったという話もお客さんからチラホラ聞くこともあった。
ナピュレ。
フランス語で訳すと「自然、純粋」。
自然な恋、純粋な恋。
ここで出会った人達には、そんな恋をしてほしい。
あたしと裕也がナピュレの恋をしたように…。
―END―