ナピュレの恋【完】
「…うっ…くっ…」
会社を出てすぐのところにベンチがある。
そこに座りなつこは堪えながら泣いた。
本当は辛かった。
あの場で泣き叫びたかった。
でも彩花の思うツボになる。
分かっていたからこそ、なつこは堪えた。
秀二の昼間の言葉は何だったの。
それがなかったら、また違っていたはず。
あんな切ない声で、優しい目で…ズルイ。
よくAさんもBさんもどっちも好きなんだ!!という人がいるというけれど、秀二もそういう人なんだろうか。