羽蝶蘭
満月の夜に
迷い猫
いつも通りだった。
何をするわけでもなく、夜の街をただ歩いていた。
「ねぇ、お嬢さん。こんな時間になにしてんの?」
「…………」
話しかけてきたのは、いかにもな格好をした数人の男。
こういうことは、夜の街にでていると何度か体験するものだ。
まったく、世の中腐ったもんだ。
「別に、散歩ですよ?」
笑顔という名の仮面をつけ、平然と答える私はきっと異常なのだろう。