紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
そしてプリンス
死者が白魔法師たちに襲いかかる。
「頼むぜ!」
クライドの魔法陣が赤く光り、灼熱の火炎を生みだす。
と同時に、火の精霊が死者たちの頭の上を飛び回り、その鱗粉をまきちらした。
「はぜろ!」
クライドが叫ぶと、炎の玉が死者の頭へ飛び、精霊の鱗粉と反応し、爆発をおこす。
まるで鱗粉が、火薬の役割をしているようだった。
「く……っ」
ナンシーから声が漏れる。
頭を吹き飛ばされた死者たちは、ぐらぐらとダンスを踊るようにしながら、草むらへ倒れた。
「どうやら、嘘ではないようだ」
「ええ」
フェイの魔法陣から、ナンシーの魔法陣を貫いたのと同じような土の槍が、死者たちの首をねらう。
アリスも強い水流のドリルで、同じように。
死者たちはクライドの最初の攻撃で学習したのか、自分たちの頭を保護しながら逃げ回る。
そして魔法と魔法の間に、白魔法師たちの至近距離に立ち、彼らの体をへし折ろうと手を伸ばした。
「強い……」
コートニーはオーランドの手を握りながら、彼の仲間たちの戦いに圧倒される。
数でこそ死者は負けていないけれど、白魔法師たちも弱点さえわかれば、そこそこできるようだ。
「……あ……っ!!」
コートニーは声をあげた。
クライドの火の精霊が、とうとうナンシーの至近距離にいた。
「燃えろっ!」
クライドが叫ぶ。
魔法陣から火の精霊へ、炎の波が押し寄せる。
それは鱗粉に反応し、さらに大きな炎となった。