紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
仲間に支えられながら歩き出したオーランドが、不意にふりむく。
そして、いつものように無邪気に笑った。
「何してるんや、行くで」
「え……」
「僕についてこい。」
さっきも言ったやろ、とオーランドは笑う。
それを彼の仲間たちが、苦々しげに見ていた。
(どうして……?)
どうして?
私は黒魔法師で、しかも古代から続く悪龍の子孫で、その王族の末裔で。
そんなふうに優しくされる理由なんかないのに。
……笑ってくれる、理由なんかないのに。
「罠だよ、コートニー」
シドが足元でこっそり言う。
そうかもしれない。
たぶん、そうだろう。
「……いいわ。どこに行ったって、私には地獄だけだもの」
きっとあの男は、自分の気配をつかんで、どこまでも追ってくる。
ならば敵陣に飛び込んでも、同じこと。
コートニーは、歩き出した。
オーランドの金髪だけを、頼りにして。