紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
ただの、キミと
とりあえず彼らは、一番清潔かと思われるアリスの部屋へ移動した。
オーランドはベッドに寝かされ、傷の手当てを受けた。
その間、指一本触れることすら、コートニーには許されなかった。
彼女は別室のアリスの監視の下。
オーランドの近くにはクライドとフェイが座る。
「……というわけや」
オーランドは、今日あったことを説明した。
「うーん、騎士団にあの女を渡すしかないよな、フェイ」
「同意だ。
俺達で面倒を見切れるとは思えない。
あのプリンスと呼ばれた男の魔力は半端なものではないしな」
「ちょっと待ってくれ。
もう少し僕に、任せてくれんか」
オーランドは起き上がって、二人に訴える。
「コートニーは、俺らの敵やない。
あのプリンスっちゅうやつが嫌いで、逃げてきたんや」
「それも、彼女の芝居だったら?
どこかから、お前の右腕の情報が漏れていて、最初から悪魔とのキメラであるお前に近づく目的だったとしたら?」
「だとしても、今は敵やない!」
「その根拠は?」
オーランドとフェイの言い合いを、クライドが止める。
「まあ、一番近くにいたオーランドがそう言うならそうなのかも知れないけどさ。
結局黒魔法師と白魔法師は、ロミオとジュリエットなんだ。
まさか、本気で惚れてるわけじゃないだろ?」
なんだそのわかりやすいようで、そうでもない比喩。
ロミオとジュリエットなんか、古すぎる。