紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
(あいつ、今どこで何しとるんやろ?)
今なら、瑛ともっと打ち解けられる気がする。
もしまた会えたなら、何を話そう。
そんなことを考えるうち、コートニーが浴室から出てきて、ホテルの備え付けのバスローブを着て出てきた。
入れ替わりにオーランドがシャワーを浴びて戻ると、コートニーはすでにベッドの中。
いつも彼女の腕の中にいるシドは、まだ帰ってきてないみたいだった。
「もう夢の中ですか?」
オーランドは少し呆れる。
コートニーは、すでに目を閉じていた。
「……おやすみくらい、言ったらどうなんかな」
ひとりで先に寝るとか、どうなんだろう。
(まあいいか……疲れてるやろうし)
オーランドは横になるコートニーの背後に、もぐりこむ。
すると、彼女の背中がびくりと震えた。
「あ、起こしてもうたか?悪い……」
優しく肩に触れると、コートニーの首の後ろが、赤く染まっていった。
「へ……?」
触れた肩は、相変わらず小刻みに震えている。
(これって、まさか……)
緊張してるのか?
あんなに、普通だったくせに?
(ああ、違う……)
普通じゃなかった。
コートニーが「見ないで」と言えば、自分が「お前なんか見るか!」と返す。
そうしたらコートニーは、「なによ!」と怒るはずなのだ。
「あっそ」と、彼女は精一杯、普通を装っていた……。