紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


白い肌に、ブラウンの瞳。
同じ色の長いまつげが、頬に影をつくる。


気の強そうなツンとした鼻に、生意気そうな小さな赤い唇。


(……美少女、なんやけどなあ……)


気になるのは、彼女の格好だ。


コートニーは真っ黒なドレスに身を包んでいた。


膨らんだ袖、紐で編み上げになったスクエアネックの上半身。


スカートのすそにも黒いリボンがあしらわれ、パニエでこれでもかと膨らませている。


膝丈のスカートからのぞく白い足には、黒いニーハイソックスに、黒い厚底のストラップシューズ。


いわゆるゴシックロリータと日本で呼ばれるファッションだ。


瞳とお揃いのブラウンの髪はくるくるとウェーブがかかっており、
その頭の上には、実用性なんてこれっぽっちもない、ちいさなシルクハットがちょこんと乗っていた。


「変わった格好やなあ」


オーランドは日本で一度東京に出たときにもゴスロリ少女を見たことがあるが、彼女たちは明らかに日本の街から浮いていた。


背景と格好があっていなかったせいだと思われる。


「あなただって」


コートニーに言われて、オーランドは自分の格好を確かめた。


秋用の赤いチェックのコートの下には、ナイフで何箇所も裂かれたようなTシャツ。
下半身は黒いパンツに、コートニーのハットと同じくらい実用性のないベルトや鋲がついた、木底のブーツ。


首には犬の首輪のようなチョーカーがあり、手首には鋲のついたブレスレット、指には金のアーマーリング。


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