紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「シド!ダメよ!」
コートニーが彼を抱き寄せると、シドは小さな声で、オーランドに言った。
「頼むよ……コートニーを……
僕の唯一の友達を……守って……」
オーランドはしゃがみこみ、消えていくふわふわの腕を指先でにぎった。
「ああ、必ず……」
真剣な表情に安心したのか、シドはそれ以上何も言わず、静かに灰になっていった。
コートニーのひざから、ざらりと落ちたそれに、ぽつりぽつりと彼女の涙が落ちた。
「……何が……白魔法師や……」
オーランドは立ち上がる。
そのすぐそばに、コートニーも。
彼女は涙をふき、ランスロットをにらみつけた。
「なにが、騎士団や。
悪魔の方がよっぽど、心があるわ!」
「同感だわ!」
二人を、白魔法師が幾重にも囲む。
その中にはアリスやフェイ、クライドの姿もあった。
「なんと言われても、お前たちを野放しにするわけにはいかない」
ランスロットはまた、銃を構える。
「おお、ええわ。
もうどうなっても知らんで!」
オーランドが怒鳴る。
体全体から、力が放出される。
コートニーは守りに徹するため、その力を取り込み、魔法陣を作る。
それは、オーランドの金髪と同じ色をしていた。