紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
一夜明けて
カーテンの隙間から日光がさしこみ、オーランドは目を開けた。
目覚めたのは、いつもの部屋のいつものベッド。
壁には一昔前のパンクバンドのポスターが貼ってあり、昨夜着ていたコートがハンガーにかけてある。
一人暮らしのアパートは、自分の他に誰もいない。
……いつもなら。
(なんでこんなことに……)
オーランドは横で寝ている少女の寝顔を見下ろし、頭をかく。
昨夜出会った少女はあれから自分についていくとの一点張りで、いくら説得しても折れなかった。
このままでは夜が明けてしまうと思ったオーランドは、ひとまず彼女を自分の部屋に連れてきた。
(コートニー、やったよな)
コートニーはどこからどう見ても15歳そこそこで、義務教育も卒業していないように見える。
そんな少女を連れて、18歳になったばかりの自分がホテルに行っても、なかなか泊めてもらえないだろう。
といって、ブティックホテルに連れ込むわけにもいかない。
であったばかりでも普通の女の子ならそんな展開もありうるけど、相手は明らかに普通じゃない。
しょうがなくこの部屋に招きいれ、シャワーを使わせ、自分の部屋着を差し出すと、コートニーはさっさとそれに着替え、さっさと自分のベッドで寝てしまった。
背中に背負っていたテディベアを、しっかり抱いて。
首には細いチェーンが光っている。ネックレスか何かだろう。