紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
(ソファー、買っておくべきやったな)
他に寝るところがなく、オーランドはコートニーと同じベッドに寝たのだが、起きた今では猛烈に後悔していた。体中が痛い。
コートニーの寝相の悪さはそれはもう壮絶で、オーランドは何度も蹴られて起こされてしまったのだった。
下心もなく女の子と寝たのは初めてだったが、最悪の結果だ。
普通の女の子なら、甘い言葉をささやいて、甘い時間を過ごすこともできたのに。
「ふぁ~あ、寝た気がせんわ……」
先にベッドから起きだすと、シャワーを浴びて着替え、朝食の準備をする。
いつもは一人だから、適当にパンをかじって終わりなのだが。
(とんだ厄介者を拾ってもうた……)
オーランドは冷蔵庫の数少ない食料から、卵とウインナーを焼き、じゃがいもをレンジで柔らかくしただけの朝食を用意する。
牛乳は消費期限を過ぎており、ためしにコップに注いでみたら、どろどろ……とヨーグルト状になっていたので捨てた。
変わりにインスタントコーヒーを淹れる。
至極適当だが、自分の食事に無頓着なオーランドにとっては、最大限の努力だった。
狭い部屋のキッチンでがたがた物音がしているにも関わらず、コートニーはぐっすり眠っている。
オーランドは静かにベッドに近づき、優しく声をかけた。