紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


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ゆっくりとまぶたを開けると、優しい秋の日差しが自分たちを照らしていることに気づいた。


同じベッドの中、コートニーは自分に寄り添うようにして寝ている。


(……夢?)


コートニーは安らかな寝顔で、自分の隣にいた。


長いまつげ、つんとした鼻、バラ色の唇。


素肌をさらした肩は毛布に隠れ、下にはシーツの感触がする。


二人分の体温がこもったベッドは暖かく、苦しみなんて一つも感じさせない。


僕たちはいつから、ここにいたんだっけ?


もう、戦いは終わったんだっけ?


オーランドはゆっくりと、記憶を呼び起こす。


すると、腹のあたりがにぶく痛んだ。


(ああ……そうや)


だんだんと、意識がはっきりしてくる。


(僕たちは、魔法陣で移動して……)


カートとの戦いで、バルコニーから転落した自分たちは、コートニーの移動魔法で、地面に叩き付けられずに済んだ。


の、だけど……。


無我夢中で魔法を使ったコートニーが、自分たちを移動させたのは……。


知らない湖の、上だった。


まずい、と思う暇もなく、二人は水面に叩き付けられる。


パニックに陥ったコートニーをオーランドが抱え、なんとか脱出。


やけに明るいと思って見れば、眼前に広がる山々の間から、太陽が昇るところだった。







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